モーニング娘。『セカンド モーニング』(ASIN:B00002DDB2)

セカンド モーニング

 初期モーニング娘。の魅力を一言で表すとすれば、言わば“コントラストの美学”。スタイルの異なるシンガーたちがそれぞれに個性を発揮して1曲を仕上げていく、その多彩さにありました。
 例えば『パパに似ている彼』のBメロ。1番では飯田圭織のアンニュイなヴォーカルが早朝の静謐な空気と、両親の目を盗んで外出することの躊躇いを。2番では同じパートを石黒彩がワイルドに唄い上げることによりドライブの躍動感と湧き上がる期待を、それぞれに表現しています。また『恋の始発列車』における一節、「眠れない日/真夜中に電話した」は、中澤裕子という大人の女性が担当したからこそあれだけの説得力を持ちえたように思うのです。
 河野伸によるホーンアレンジが軽快な『真夏の光線』、ハイラム・ブロック、ウィル・リー、クリス・パーカーらニューヨークの腕利きミュージシャンが参加した『Memory 青春の光』などサウンド面でも聴き所は満載ですが、この1枚だけはあえて歌唱にこだわって聴いて欲しい。それだけ質の高い、ファンにとっては大切なアルバムなのでした。