Mick Karn『Bestial Cluster』(ASIN:B000008H80)

Bestial Cluster

 昨夜のキッチン・ミュージックは1993年に発表されたミック・カーンの3枚目のソロアルバム。なんとデイヴ・リーブマンと共演しています。ミックとしては最もJAZZに接近した時代の作品と言えるでしょうか。
 本作の発表当時、JIMCO(当時の発売元)から定期的にDMを受け取っていた僕がなぜこの作品をリアルタイムで聴いていなかったのかと言えば、ぶっちゃけた話『ポリタウン』があまり好みではなかったからです。デヴィッド・トーン&テリー・ボジオとの共演盤ですね。4枚目のソロアルバムにあたる『トゥース・マザー』は聴いていたのですけども。あれもあまり口に合わなかった。ジャンセン/バルビエリ/カーンは好きだったのですが。
 まあ当時はビル・ラズウェルが中心となってJAZZ寄り・ROCK寄り・民俗音楽寄りの各方面から似たような作品が濫発されていたこともあり、「フリー・ミュージックはもうたくさん」という気分だったのかも知れません。
 で、今聴いてみるとこれがなかなか良い。ただし聴き所はやはりミックのベースです。リーブマンのSAXが絡んでくるとむしろフュージョンっぽく聴こえてしまう。この辺りがミックとデヴィッド・シルヴィアンの差異とでも申しましょうか。思索的な方向には向かわず、練れば練るほどどんどんポップになってゆく。ヴォーカルがノーマルすぎて物足りないのも、実は本人の音楽性とマッチしているのかも。それゆえ際立つベーシストとしての特異性。