渡辺美奈代 『GOLDEN☆BEST/渡辺美奈代 SINGLES』

GOLDEN☆BEST/渡辺美奈代 SINGLES

GOLDEN☆BEST/渡辺美奈代 SINGLES

 夕べのキッチン・ミュージックでした。はまぞうのテストも兼ねてます。
 渡辺美奈代は、アルバムは聴いたことがないのですが、ことシングル曲に限ってみればその活動をおおよそ4期にわけられると思います。
 秋元康/後藤次利コンビが手掛けた第1期は、一聴してアイドル・ポップスの王道を行くと見せかけながら実は意外と挑発的。特に『TOO ADULT』と『PINKのCHAO』の2曲は美奈代、あるいは浅香唯あたりにしか唄えないエッチ路線で、今聴いてもなかなかに新鮮です。
 1曲ごとに楽曲提供者が変わった混迷期とでも言うべき第2期は、確立されかかったエッチ路線から一旦離れ、生真面目でオーソドックスなアイドル像を演じた、ある意味貴重な時期。遠藤京子にペンによる『ガールズ オン ザ ルーフ』は名曲です。
 鈴木慶一/渚十吾のコンビによる第3期は再びエッチ路線に戻り、最も彼女らしさが発揮された時期と言えるでしょう。ただし、慶一独特の癖のある節回しにはかなり苦戦しており、歌手としての円熟は第4期を待たなければなりません。この期の代表曲は『WinterスプリングSummerフォール』。
 井上ヨシマサを迎えた第4期はシンガーとしての充実期。なかでも『ピチカート・プリンセス』におけるウィスパー・ヴォーカルは、歌詞の言葉遊びとトリッキーなメロディーラインを最大限に生かしており、魅力に満ち溢れています。
 おニャン子くらぶ時代の盟友・渡辺満里奈といい、この美奈代といい、シンガーとして成長し「さあこれから」という時に音楽活動が途絶えてしまったのは残念でなりません。アイドル出身のアーティストがセールスを度外視して活動を続けるのはやはり難しいのでしょうか。