ネーネーズ『あしび』(ASIN:B00005G5WC)

あしび

 僕にとってネーネーズは、高野寛遊佐未森PSY・Sなどと共に“ポスト・ムーンライダーズ世代”を代表するアーティストの一組でした。まあPSY・Sネーネーズは結果的にライダーズの解散を待たずして姿を消してしまったわけですが。
 一部ブラジル録音も行われたこのアルバムでは、無国籍かつ現代的なポップセンスと島唄、あるいは琉球歌謡のテイストがほどよくブレンドされており、とても気持ちよく聴くことができます。冒頭を飾るワールド・ミュージック的でエネルギッシュな『シャーマン』から、切ないながらも何か根源的なパワーを感じさせる『ほしのパーランク』を経て中盤のウェットな4曲へと至る流れは非常に魅力的。もちろんウチナーグチ版『ノーウーマン ノークライ』も最高です。サウンド的には三線や太鼓などに交じってモダンな色合いを添える佐原一哉のシンセワークが聴き所でしょうか。ブラジル人ミュージシャンたちもネーネーズの音楽に深い理解を示し、健闘しています。
 古謝美佐子と佐原の離脱により後期にはやや保守的な路線を歩むことになるネーネーズですが、少なくともこの1枚は今聴き返しても何ら色褪せることのないオリジナルな魅力に溢れています。機会があればぜひご一聴を。