大村憲司『Leaving Home〜best live tracks II』(ASIN:B0000QWYA8)

Leaving Home

 大村憲司LIVE盤2枚同時発売の2作目は純未発表曲や大貫妙子矢野顕子との共演なども収めた真にレアな1枚。
 未発表4曲の中ではブルージーでちょっとトリッキーなテーマが印象的な『Greedy Woman』が出色の出来。憲司のギターもさることながら佐藤博のエレピが良い味を出しています。さすがは手練。『Tokyo Rose』や『The Lady In Green』における小林信吾の堅実なプレイも光りますね。
 『突然の贈りもの』は残念ながら期待したほどの出来ではありませんでした。『Going Home : Theme Of The Local Hero』もそうですが、小林武史のピアノは憲司のギターと相性が悪いような気がします。何だかちょっと窮屈な感じ。
 憲司自身がヴォーカルをとる歌モノ『Better Make it Through Today』と『Everyday I Have the Blues』はいずれも好演奏。特にKyonのファンキーなピアノにのせて唄われる後者は、肩の力が抜けた良い意味でのルーズさがあって楽しめます。憲司の粗野なヴォーカルもまた楽し。
 そしてアルバムのラストを飾るのは、矢野顕子のピアノと憲司のエレアコとのデュオで演奏される『Leaving Home』。この1曲を聴けただけでも本作を購入した甲斐がありました。この二人にしか成し得ない、二人だけの会話。
 最終トラックの冒頭に収録された憲司のMCはまるで幼馴染みと再会したかのような安らぎに充ちていて、不覚にもちょっと涙が出ました。