大村憲司、再び

外人天国

 時々「大村憲司というギタリストのどこが良いのかわからない」という意見を目にします。無論好みは人それぞれなので彼のプレイが肌に合わない方がいても全然かまわないのですが、このスレの514番の書込みを読んで以来ずっと気になっていました。
 矢野顕子にJAZZを求める方からすれば憲司のプレイは物足りないのかも知れません。YMOの流れで彼の存在を知った方(僕もその一人ですが)はニューウェイヴ的な要素を求めて物足りなさを感じるかも知れないし、フュージョン好きな方は渡辺香津美あたりと比べてインプロビゼーションのスリルが足りないと思うのかも知れません。まあ憶測の域を出ないのですが。
 僕が思うに、大村憲司は「スティーリー・ダンの音楽に世界で一番マッチするギターを弾くギタリスト」でした。タバコとアルコールの匂いがする粘っこいギターソロ。両者の共演が果たされなかったことが残念でなりません。自分の音楽性とベストマッチする歌い手に出会えなかった歌伴ギタリストの不幸。結局のところ、彼は自分で唄うより他になかったのです。
 先日、彼が遺した4枚のソロ・アルバムが再発されましたが、僕が考えるベスト作は『外人天国』(ASIN:B00009KMD6)です。唄えるギタリスト・大村憲司の面目躍如。興味を持たれた方はぜひ聴いてみてください。憲司プロデュースによる大貫妙子のアルバム『A Slice of Life』(ASIN:B00005FE5F)もテイストが近く、お奨めです。<追記>
 『音楽観察者』のAndyさんより“『A Slice of Life』のプロデュース・クレジットは大貫妙子と宮田茂樹”とのご指摘をいただきました(「音楽中心日記」8/29)。ありがとうございます。手元に盤がないので未確認のまま書いてしまいました、お恥ずかしい。十何年の間ずっと憲司プロデュースだと思ってました。<再追記>
 この記事の表題が『ギター・マガジン』9月号の特集とほとんど同じであることに今頃気付いた…。
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